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国政へのチャレンジに向けて [ 2007年07月22日 ]

同性愛者として初めて国政政党から選挙にチャレンジできることを、本当にうれしく思います。このチャンスを与えてくれた民主党に、深く感謝しています。また、私がこのスタートラインに立てるのは、今までの多くのLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の方々の活動の成果であり、その積み重ねに深く敬意を表します。

私は2003年から大阪府議会議員を務めていました。自治体は一人ひとりの生活の現場に近い場所であり、地域の困りごとの相談を受けたり、若者や女性としての立場から政策提言をしたり、一生懸命に取り組みをしてきました。その中で、私は2005年に、同性愛者であることを日本の議員として初めて公表(カミングアウト)しました。

私がカミングアウトした理由は、共に社会の中で生きている私たちの存在を、もっと可視化する必要があると思ったからです。私自身、自分が同性愛者かもしれないと気付いてから、自分はおかしいのかもしれないという自己否定と、自分のような存在はたったひとりなのかもしれないという孤独感に何年も苦しんできました。今も悩みの中にいる多くの仲間たちに、ひとりじゃないことを伝えたい、そんな思いで、公表と同時に著書を出版しました。

カミングアウトした私の元には、同性愛者等の仲間たちから、様々な相談が寄せられるようになりました。そこでぶつかったのは、日本の法律や社会の壁でした。大切なパートナーと死別しても、財産が相続できない。お葬式にさえ参列できない。病院での治療の説明を受けられない。外国籍の同性パートナーに日本での滞在許可が与えられない…。パートナーが異性であれば、事実婚として一定の権利が認められていますが、パートナーが同性の場合は、日本では何の法的権利もありません。愛した人の性別が違うだけで、なぜこうも対応が違ってしまうのでしょうか?これは公正な社会といえるでしょうか?

たったひとつのモデルからはみ出したら、そこには何の生活の保証もない。実はこうしたことは、同性愛者だけの問題ではありません。今の社会は、一つの価値観を示し、それだけが美しいもの、正しいものであるかのような流れをつくっているように思います。しかし、現実は多様化しています。日本社会には、国籍、民族、性別、年齢、チャレンジドなど、多様な人たちが多様な形で暮らしているにも関わらず、今の社会システムはその現実に対応できていないと思います。

私は、これからの社会は、他者の権利や自由を侵害しない限りは、誰が、いつ、どんな選択肢を選んだとしても不利にならない、そんな社会であるべきだと考えています。それは、多様な価値観を認め合うこと、多様な人々が「共に生きている」という認識のもとに、対話を重ね、助けあう社会だと思います。

今の政治に欠けているのは、他者への寛容さ、そして、あたたかさではないでしょうか。
共に生き、共に笑い、共に助け合う。
そんな新しい未来をつくるための、第一歩にしたいと思います。


■尾辻かな子のスタンス

1、私はレズビアンです
同性愛者であることを隠さず、オープンな立場で仕事をすることにより、性的マイノリティを社会の中で見えるようにします。

2、虹色の社会へ
若者、女性、マイノリティの視点を活かし、女性、子ども、若者、シングル生活者、様々な病気や障がいと共に生きている人たち、外国籍住民、性的少数者、HIV陽性者、など、多様な人々が共に生きる社会を目指します(虹は性的少数者のシンボルであり、性と生の多様性を表しています)。

3、地方自治を応援します
現場に近い自治体出身議員として、地方分権を応援します。

4、平和で持続可能な社会をめざして
より平和な世界の実現を目指し、また、環境問題、地球温暖化による気候変動への対策等を推進します。


■政策

LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)が社会で共に生きていることを前提とした政策づくりをします。
特に、
●同性パートナーの法的保障に関する法案をつくります。
●法律で差別を規定する時に、性的指向・性自認を加えるよう働きかけます。
●性同一性障害特例法の子なし要件の撤廃と健康保険適用を検討するよう働きかけます。
●HIVについて陽性者支援と感染予防について、当事者コミュニティとより積極的な連携が取れるよう働きかけます。
●LGBT外交をします。各国LGBT議員との交流を通じての外交と、今なお同性愛者が死刑になる9カ国に対してその撤廃を求めていきます。


<ご参考>

・同性愛者であることを公表して国政政党から国政選挙に出馬するのは、尾辻かな子が日本では初めてです。過去には、同性愛者として雑民党から各種の選挙に出馬した東郷健さん、性同一性障害であることを公表して社民党から衆議院議員選挙に出馬した猿田玲さんがいます。

・欧米では同性愛者であることを公表している政治家が、数多く存在します。パリ市長、ベルリン市長はゲイ(男性同性愛者)ですし、ニューヨーク市議会議長はレズビアン(女性同性愛者)です。アメリカでは、地方レベルまで含めると350名以上の議員が同性愛者であることを公表しています。

・医学的には、同性への性的指向は、異性への性的指向と同様に、健康な性的指向のひとつであるとされています。(性的指向は sexual orientation の訳です)

・日本では、同性パートナーへの法的保障は、法制化されていません。公正証書等によって、法的保障を築こうとしている人たちもいますが、相手方の親族等の第三者から異議申し立てをされる怖れがあり、その効力には限界があります。

・性的指向による差別等を禁止する法律は、日本にはまだありません。

・性自認と性的指向は、よく混同されていますが、別の概念です。
−身体的な性(セックス) 染色体、性器の形状、乳房の有無等
−性自認(ジェンダー・アイデンティティ) 心の性、自分の思う性別
−性的指向(セクシュアル・オリエンテーション) 誰を好きになるか

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